脳死裁判
大阪大学医学部付属病院で傷害致死事件の被害者が、脳死段階で人工呼吸器を取り外されて心臓停止したのち、腎臓を摘出された事件の裁判で、大阪地裁は1993年7月に被害者の死亡時刻を心臓停止時点と判断し、結果的には脳死を人の死とは認めない判決を示しました。また、1990年に大阪で起きた殴打事件で、被害者は脳損傷によって脳死状態となり、病院側が二度の判定の結果、脳死と確定しました。被告の弁護側は暴行による脳の損傷ではなく、病院の誤診で被害者が死亡したと主張しましたが、裁判所は人工呼吸器の取り外しによって心臓死の時期が早められたにしても、殴打と心臓死の因果関係に影響はなく、被告の責任は免れないとしました。ふたつの裁判は脳死が人の死かどうかを争ったものではありませんでしたが、移植法の法制化に微妙な影響を残す結果となりました。