病原大腸菌
人の腸管内に常在する菌で、糞便のなかに大量に含まれています。体内で増殖しない限り病原性を持つことはありませんが、一部が腸管で炎症を引き起こし食中毒の原因となります。病原大腸菌食中毒のうち、毒素原性大腸菌は一過性の下痢や腹痛を主体とした症状を示し、発展途上国への旅行者に多く検出される細菌です。また、O-157を含む腸管出血性大腸菌による腸炎は腹痛と激しい血便を主症状とし、さらに腸管外症状として腎障害に至ることもあります。とくに小児では、溶血性尿毒症症候群という合併症を起こして死亡する例も多くあります。なお1996年にはO-157の感染が全国に相次ぎ、死亡者も出ました。