多発梗塞性痴呆
脳梗塞によって脳の機能の広範囲な障害が引き起こされて生じる痴呆をいいます。「血管性痴呆」「脳動脈硬化性痴呆」とも呼ばれます。この病気の約半数は脳卒中後の後遺症の形で現れ、残り半数は徐々に記憶障害や理解力、判断力の低下が現れることで見つかります。アルツハイマー型の痴呆に比べて再生障害や記銘力障害が目立ち、また精神機能の反応の鈍化や判断力、理解力の衰えが見られますが、自分の過去の大まかな記憶は保たれ、人格も比較的よく保たれています。ほかに感情失禁やせん妄、四肢の運動麻痺や脳神経麻痺などを伴うこともあります。わが国ではこれまで多発梗塞性痴呆がアルツハイマー型痴呆を上回り、欧米ではその逆であるとされてきましたが、近年この両者の比率は1対1に近いといわれています。