地誌的健忘
通いなれた道で迷うなど地理的な情報を認識できなくなることをいいます。今いる場所の状況を総合的に判断できないことから、場所の見当識障害にも深い関連があります。たとえば、痴呆高齢者が自宅の所在を忘れ徘徊する場合、距離的な見当をつけてその周辺を探すことはまれです。道に迷ったことを理解していないため、延々と歩き続けて自宅から遠く離れた場所で発見されることがよくあります。発見者に住所や家族の名前などを尋ねられると答えることができますが、途中その情報を使って人に助けを求めることはできません。このように徘徊は地理を忘れてしまうことがきっかけとなりますが、その後の対処方法を判断する能力の衰えにつながって起こります。