先天性代謝異常
生まれつき新陳代謝のどこかがうまく働かないために生じる症状の総称です。原因の多くは、ある特定の代謝の流れを進行させる酵素の活性が欠損あるいは低下しているという遺伝性の疾患で、アミノ酸や糖など多くの物質の代謝にかかわる複雑なメカニズムで起こっています。先天性代謝異常の中には放置すれば重大な障害を起こすものもありますが、わが国では生まれてくるすべての子どもに対して新生児マススクリーニングを実施して、発見次第ただちに治療する体制も進んでいます。先天性代謝異常による主な疾患は下記の通り。(1)アミノ酸代謝異常(フェニルケトン尿症、メープルシロップ尿症など) (2)糖質代謝異常(ガラクトース血症、糖原病など) (3)有機酸代謝異常(プロピオン酸血症、乳酸血症など) (4)脂質代謝異常(家族性高コレステロール血症など) (5)プリン・ピリミジン代謝異常(レッシュ・ナイハン症候群、痛風など) (6)リソゾーム病(ムコ多糖症など) (7)金属代謝異常(ウイルソン病など) (8)腎尿細管転送異常(シスチン尿症など) (9)内分泌代謝異常(先天性副腎過形成、甲状腺ホルモン合成異常、腎性尿崩症など)