中国の高齢化と年金問題
1999年、中国は高齢化社会に突入し、現在60歳以上の高齢者が1億4000万人(全人口の11%)以上いるとされています。『中国国家高齢化問題委員会』の調査によると、60歳以上の高齢者人口は、2020年に2億4800万人(17.2%)、2051年には4億3700万人(30%)以上に増えるものと予測されています。国内の高齢者人口の増加は、国家の財政を圧迫するとともに、年金制度の崩壊という危機に直面しています。中国の年金制度は、国営企業の大改革のさなかの1997年に導入されましたが、それ以前から退職者に補償するための国家基金が不足していました。その後も巨額な赤字を積み重ねていき、ついに2005年末には不足額が1000億ドルに達しました。年金不足の原因のひとつとして、年金加入率の低さが挙げられます。2005年時点で年金加入者は約1億7400万人と全人口の13.4%に過ぎません。現在の状況が続くと、年金加入者の老後を保障するうえで十分な年金額を支払えない可能性が高くなることから、今後の行方が注目されていますが、今のところ中国政府に目立った動きは見られません。