アメリカの社会保障制度
アメリカの社会保障制度は、大きく公的年金制度と、公的医療保険制度のふたつに分けられます。このうち医療保険については、全国民を対象とする制度ではありません。公的年金制度(老齢・遺族・障害保険制度)は、公務員などを除く、あらゆる所得者に適用されます。退職給付の受給資格を得るためには、原則10年の加入期間が必要です。支給開始年齢は65歳(1960年以降生まれは67歳)です。公的医療制度は、“メディケア(高齢者医療保険制度)”と“メディケイド(低所得者医療扶助制度)”の2種類があります。メディケアは、65歳以上の公的年金加入者、65歳以下の障害者を対象とした医療保険制度で、強制加入の“病院保険”と、任意加入の“補足的医療保険”からなります。病院保険とは、65歳以上の高齢者、障害者、一定の疾患を持つ人などを対象に、入院費や退院後の療養費などを給付する制度です。補足的医療保険とは、在宅医療費、外来診療費などを給付する制度です。一方、メディケイドは、低所得者を対象に基本的な医療費を支払う制度です。また、一般の人々は、公的医療保険の対象外となるため、民間保険会社の医療保険を利用することになります。